中川エリカ展 「JOY in Architecture」@TOTOギャラリー間

ギャラ間での展示会が久しぶりに再開された。コロナの影響で、予定されていた展覧会の日程が変更されている。2020年の5月に始まる予定だったSANAA展は延期され、順番を入れ替える形で新しい展示会が始まった。

タイトルとなっているJOY in Architectureは、「建築の持つ喜び」ではなく、「建築による喜び」という意味を持つ。建築がもたらす喜びが、会場を埋め尽くしているスケールの大きい多種多様な模型によって表現されている。

3階の展示は、桃山ハウスやSKIP ROOFなどの大きな模型が目立つ。これらのスケールの違う模型は、施主とのイメージを合わせるようなものや、スタディのために試行錯誤しているものなど多くの目的を持つものが一同に会していた。展示会でありながら、事務所の一角を覗いているような雰囲気さえもあった。

上階の展示は、事務所のメンバーでチリの6都市で行ったリサーチの結果がまとまっている。ここでは、野外の什器を手掛かりに、人々の居場所をさぐっている。壁一面に貼られている写真には、短めのテキストが添えられる。

また、写真に加えて、緻密につくられた模型も展示室に共存している。写真をみたり、模型をみたりを繰り返していくと、チリの都市が持つ南米特有の空気感がつかめてくる気がする。


どの模型もここまでつくらなくてもというくらいの精度である。きれい・汚いみたいなところも再現されているように思える。(地面に接するところの汚れなど)こういう部分は、新築の建築模型では気にすることはないけれど、都市での使われ方や人の居場所を考えるうえで大切な要素かもしれない。

密度の濃い展示で、時間があるときにもう一度立ち寄りたいと思える展示会だった。展示会は事前予約制だったり、人ごみを作らないよう工夫されている。短時間だと回り切れないかもしれないので、ぜひ時間があるときに訪れるといいかと思う。

Bitly

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