東大建築の科目のひとつ専門課題Ⅱの中でも受験者が多い即日設計について詳しくまとめていきます。(あくまで自分が受験したときに聞いたことや実感したことなので参考までに。)
目次
採点について言われていること
前記事でも書いたとおりにある程度図面・パースが描けており、プランも解けてあれば及第点はもらえるといわれています。採点方法は公表はされていませんが、ボード等に貼り付けられて、遠くで教授たちがみてランク付けをし、そのあと詳しく採点するらしいです。そのため、着彩までしっかりとすることで遠くから見ても目立たせることが大事だといわれています。極端にいえば、A1用紙全体に色を付けたほうが目を引けるということだと思います。こうした情報は受験者の間に出回っており、図面が似たような色づかいになることがあり、特に東大の内部生の図面は似通る傾向にあります。そうした中で、あえて色を使わないという手も一つの作戦としてはいえるかと思います。また、設計する上で、動線も大事な要素だと思います。機能によって必要とされる動線があるので、そういった動線を理解していることが伝わる図面を書きましょう。
問題の傾向
主に出題されているのは美術館・集合住宅・地域のコミュニティーセンターなどです。幼稚園などが出たこともありますが、特殊な問題が出ることはあまりないイメージなので、過去問を解くなどして対策をすることができます。
対策
まずは過去問を一度やってみることだと思います。自分もそうでしたが、多くの人は時間がなく全然終わらないと思います。即日設計で一番の肝となるのは制限時間内に早く終わらせるために手を動かし続けることです。そのためにも時間の感覚を知ることは大事です。
次に、東大で行われている練習会に参加することも重要です。研究室訪問の際に聞いてみてください。練習会では問題を解いた後に院試を経験している東大の先輩たちがエスキスをしてくれます。これはとてもためになり、自分の作ったボードについていろいろと意見をしてもらえます。また、ほかの人の作品を見ることが出来るのも参加するメリットです。相手がどのくらいの完成度を持ってきて来るかを知ることが出来たり、新しい表現方法を見つけることもできるかもしれません。表現方法は東大内部生・外部生・留学生で独自の傾向がみられます。。こういった傾向をみて他者の作品を見ると違いがよく見えて対策が取りやすいかと思います。
家では過去問を使って時間配分の練習をします。参考までに、自分は30分でエスキス、30分で1階平面、30分で2階平面、30分で断面図・立面図、30分でペン入れ、30分でパース・ダイアグラム作成、1時間で着彩・添景を目安に時間を配分していました。
エスキス、プランニングを早くに解いて、着彩・添景に時間をどれだけ割くことが出来るかがポイントになると思います。
必要な道具
即日設計をするうえで必須な道具がいくつかあるので紹介します。
「T字定規」「三角定規」
この二つは製図をするうえでは欠かせないものです。東大の即日設計の場合、製図板というよりかは木の板の上で製図をすることになるのでT字定規は必須です。A1用紙をすべてカバーしないといけないため長さは90cmのものを選びましょう。60cmではカバーしきれません。また、三角定規についても大きいものを選んでおくことをお勧めします。30m×30mの敷地を1/100で書くとなると30cmは必要ということになります。T字定規ってアマゾンではおもちゃ扱いなんですね笑
「コピック」
着彩道具の一つです。別に水を必要とする水彩は東大では禁止されているので、コピックを使った着彩が主流です。技術があればパステルを使いきれいに淡い雰囲気を出せるのですが難しく練習が必要です。コピックは高いですが「クラシック」「スケッチ」「チャオ」の3つがありますが「チャオ」が一番安いうえに建築の着彩には向いているかなと思います。チャオは「ミディアムブロード」と「スーパーブラシ」という2つのペン先を持ち合わせています。ミディアムブロードは面で塗るのに優れスーパーブラシは直線的に塗るほか樹木の添景を塗るのにも適しています。
このセットはバラバラで250円(税別)の単品を買うのよりも安く、よく使う色を兼ねそろえているのでお買い得だと思います。
「目盛付きマスキングテープ」
これも必須のアイテムです。ケント紙を製図板に張り付けにも使いますが、目盛を利用してケント紙上での図面・パースのレイアウトにも使います。マステを用いて色を塗ると端がきれいになり、遠くから見たときの見た目の良さが変わります。一度、試してみてください。また、マステでお勧めなのは、メモリ付きのマステです。これが意外と便利で、ケント紙の周りをこれで留めるだけで、ガイドとして役立ちます。レモン画翠でも販売されているのかもしれませんが見つけることが出来なかったので、売っていない可能性が高いかもしれません。この商品が一番コメントも多く評価も高くいいかなと思います。その他の製図用品と一緒に購入することをお勧めします。
「インキングペン」
即日設計ではインキングまでする必要があり、そこに時間がかかることも多いです。そのため、ペン選びは慎重に行ったほうがいいかと思います。数あるペンの中でお勧めしたいのはピグマの2mmのペンです。このペンはマーカーのように厚みを持たせた線を引くことができ、外壁の製図を速やかに行うことができます。
チェック事項
最低限抑えておきたい項目を並べおきます。時間内に以下のことが出来るようになるのが練習の時は目安になるかと思います。
□指定された図面が揃っている。
□図面名、スケール、方位が描かれている。
□諸室名が描かれている。
□ルールに従って窓やドアが描かれている。
□構造にあった天井面や基礎が断面図に描かれている。
□目地などの表現でどういう素材を想定しているかが分かる図面になっている。
□使われ方がイメージできる添景が描かれている。
□補足するようなキャプションが効果的に書かれている。
□機能に適した動線が取られて、それが分かる図になっている。
□設計主旨やダイアグラムによってやろうとしたことが伝わる。
□消した跡やマスキングテープの貼り残しのないきれいな図面になっている。
□引いてみたときに十分な密度感がある。
上げたものは最低限の要素と思ってください。こうした基本事項を踏まえたうえで、しっかりと論立てた設計が出来ているかが問われていると思います。
下記の筆記課題や研究計画書についてもまとめていますので、もしよかったらお読みください。個人的には研究計画書は比較的ですが大切なものだと思っています。手を抜きがちですが、しっかりと研究したいことのイメージを持ち合わせたほうが良いかと思います。
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