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三田・田町にある日本建築学会建築博物館ギャラリーにてアルヴァ・アアルトの展示会が開催されています。アアルトの生誕120周年を記念に開催されており、東京ステーションギャラリーで開かれている「アルヴァ・アアルト もうひとつの自然」のサテライト的な位置付けです。自分自身も少しですが関わらさせていただきました。
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アアルトはフィンランドを代表し、初期のモダニズムの建築家です。図書館や役所、ホールなどの人が集まる空間の設計でも有名ですが、本展示会では「内省する空間」つまり、1人で思考に耽る空間にスポットライトが当てられています。住宅から図書館など幅広い規模での建築作品を残したアアルトの根底にあるヒューマニズムな部分を見ることができると思います。
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壁面にかけられた大きいパネルにはアアルトの作品が年代順に掲載されています。それと同時にミース・ファンデル・ローエやコルビュジェなどの動きも合わせて掲示され、20世紀の建築家の動向の中でのアアルトの立ち位置を知ることができます。
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模型は断面模型が多く、1/20や1/30などの大きいスケールで中を覗くことができ、細部までよく再現された模型を見ていると、訪れたことのないアアルト建築であっても空間の豊かさがよく伝わります。図書館はヴィープリの図書館、セイナヨキの図書館、ロヴァニエミの図書館という3つのアアルトを代表する図書館の断面模型が、それぞれどのように採光が考えられ、読書空間にどのような共通点があるかが分かりやすい展示になっている。
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住宅ではカレ邸とマイレア邸の2つの住宅にスポットライトを当て、住宅の中でも特に内省する空間の詳細な模型が展示されています。特に家具の設計も数多く行なっているアアルトなので、建築の内部でアアルトの家具がどのように置かれ、空間を構成する要素として活きているかが良くわかります。いかに人間中心的に考えられているかがよく分かります。
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展示されているのはアアルトの模型だけではなく、弟子の武藤章の作品も2作品も展示されています。武藤章は、約1年間アアルトの事務所に勤めた日本人で唯一の人物です。
アアルトの夏の家「コエタロ」、ルイカレ邸の煙突と武藤章の白樺湖夏の家の煙突や、工学院大学図書館に見られるハイサイドライトを用いた光の取り入れ方を見るとアアルトの技術や考えが日本にも持ち込まれていることが分かります。
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模型展示のほかにも写真展示、スライドショー、アアルト自邸の映像作品、スツールなど様々な方法で展示されてます。
会期は3/17までなのでお見逃しのないように。
コメント
アアルトの建築は、光と空間に温かみがあって、私もとても好きです。
展覧会のご紹介ありがとうございました。