乃木坂のギャラ間で行われる建築家の個展、今回は東京藝大で教授もされている建築家の中山英之さんの展示会です。今までにないくらい評判が良さそうな展示会だったので、何としても時間を作っていきたい展示会でした。
「,and then」と題し、建築が建ったあとのこれからに主眼を置いた展示で、出来た”あと”の建築作品を題材にした映画がこの展示の主役になっています。下階の展示は、建築の全容を示したものでありながら、上階の映画のからくりの種明かし的になっています。展示会場に入って、まずはどういう建築についての映画であるかを頭にいれ、上階に上がって建築が舞台となっている映画を鑑賞し、そのあとに、下ってもう一度展示を見返すという鑑賞の仕方が良さそうでした。
CINE間と題して上階で上映されている映画は、「建築家の関わることのできない」それからがどのように使われているかを映すもので、それぞれ監督の違う作品になっています。撮り方もみなバラバラでありながらも、いかに客観的な建築の姿を映すかに力が入れられていると思いました。作品のうちの一つ「弦と弧」では360度カメラを使い、人のいるところ人のいないところを等しく扱い、また。「家と道」は建物内に仕掛けられた別アングルの定点映像が最後に組み合わさり、一つの物語となるものでした。必ずしも設計者の想定した人の動きを利用者がしてくれるとは限らないが、映画では人が使っていない部分も映し出されていることが大事な気がしました。どの映画も、見ていると建築について頭の中で想像が膨らむもので、映画の続きをどんどんと勝手考えてしまうものでした。
また、実際の建築を見ているときには流れない「音楽」がいづれの映画でも足され、人の静動やシチュエーションに合わせられていたことも楽しめるポイントの一つだと思いました。
短編映画が合わさって1時間ほどの上映会は、下階の展示会と合わせることで頭の中に建築の全容と使われ方が同時に浮かび上がるものでした。自分がこれまで行ったギャラ間での展示会とは大きく異なるものでとても新鮮な気分で楽しむことができました。
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