もう終わってしまったのだけれど、この前まで葉山で開催され、名古屋・東京・青森と日本を巡回するアアルト生誕120周年を記念した大規模な展覧会「アルヴァ・アアルトーもうひとつの自然」へ訪れた。日本建築学会会館で開かれていたアアルトに関する展示会に携わった経験があったこともあり、アアルト建築に対する理解を深めるためにもいかないわけにはいかなかった。また、展示の規模も全然違く、多くの展示品とモックアップが用意されているので、どのような展示になるか気になるものでもあった。
アアルトはフィンランドを20世紀を代表する建築家であり家具も多く手掛けている。これは、当時の建築家だけでなく、現代でも共通することであるが、こうしたスケールを横断して人の振舞いに関わることはなされている。アアルトもそのうちのひとりで、今でも多くの人に愛されている家具メーカーにも携わっている。そのため、展示では、建築作品の模型や図面のほか、照明器具や椅子、ガラス食器など幅広いアアルトの作品を見ることが出来た。
アアルトの引き出し付きの机には多くの図面とスケッチが収納されており、アアルト独特の曲線がどう作られているか、都市に対してどのように建てられているかを感覚的だが感じることができたかなと思う。有機的な曲線を魅力的に作ることは、本当に難しいと思うし、家具では人の使い勝手の良さも同時に求められる。まさに、用・強・美が求められていると思う。
実は、この展示は以前フランスの博物館でも見たことがあり、それが世界中を周りに回って日本に上陸した者であった。アアルトの生誕120周年に合わせ、世界中の都市でその作品が展示されてきている。
展示されていた家具は、アアルトら4人によって立ち上げられたフィンランドのデザインブランド・アルテックやアアルト・ベースで有名なイッタラなどのものも多い。建築に携わっていなくても、どこかで見たことがあったり、買いたくなるような作品も多かったのではないだろうか。
されに、展示会場を抜けるとアアルト・ルームなるものがあり、葉山の海を望める展示室にアアルトの家具が埋め尽くされている。これだけ、様々な家具で一つの部屋を覆ってしまうことが出来る建築家はあまり多くはないだろう。よく知られているスツール60もカラーバリエーションも多く、室内を賑わせていた。このアアルト・ルームが今後の巡回展で、別の美術館でどのように構成されていくかは楽しみ。(特に青森県立美術館だとどんな感じになるのか楽しみである。)
コメント