すみだ北斎美術館

両国駅から少し歩いた所にある、すみだ北斎美術館。妹島さんの都内にある代表作ともいえるこの美術館は、下町感あふれる街並みを歩いていると突如現れる。このファサードは美術館の特徴ともいえ、この日は天気も良く、アルミパネルに空が反射しとてもきれいだった。建ち方としては公園に正対しているんだけど、だからこそ切れ目のスリットが効いてきている気がする。公園から美術館を見たときに、切れ目がいい具合に内部をちらつかせる。

SANAAとしては公園と美術館の組み合わせというのは金沢の21世紀美術館でも実現している。北斎美術館では周辺の敷地境界線を手掛かりに建物の建ち方が考えられている。公園との関係、周辺敷地から取り込むスリットの関係によって構成されている。

以前、すみだ北斎美術館で妹島さんの展示会が行われていた時、たくさんのスタディ模型が展示されていたが、基本的に分棟を意識しており、周辺との関りをもっとも大事にしていたように思える。それでも実際には分かれているのは1階部分だけで、上階ではつながり、スリットは開口部として利用されている。このことが、それぞれの棟同士の絶妙な距離感が表されているのかなと思う。

同じく妹島さんの作品である「なかまちテラス」は竣工が2014年ですみだ北斎美術館が2016年だが、基本設計は、「なかまち」よりも早い時期に始まっている。(PLOT07妹島和世より)なかまちも北斎と同様に公園に対してどう開くかがキーになっており、全体的な形態も似ており、1階部分が通り抜け出来るが2階以上でつながっている。この二つの建築が個人的にはどう関係づけられているのか、また、たまたま形として似ているだけなのかきになるところである。

ただ、大きく違うのはファサードで、北斎がアルミパネルで面が作られているのに対して、なかまちはエキスパンドパネルで包まれた各棟が四方に広がっている。この違いは敷地の違いと同時に、中のプログラムの違いが大きいと思う。実際なかまちテラスには行ったことがないので何とも言えないが(駅から遠くなかなか行きづらい。。)プログラムがたくさん複合しているゆえに、分棟が強まっているのかなと思う。すみだ北斎美術館は美術館という単一のプログラム、1階には図書室があるがそこにはヒエラルキーがあり、美術館として一つの建築を作り出していると思う。

展示内容も北斎の作品がたくさんあり、とても面白くまた一つ好きな美術館ができた。

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