先日の金沢で行われた学会のついでに、建築家による設計の2つの図書館を見てきた。今回訪れた、シーラカンスK&Hの金沢海みらい図書館と隈事務所のTOYAMAキラリ(富山市立図書館)の両図書館は、どちらも比較的新しい北陸の建築でありながら、規模も建物内に入り込む用途も全然違く、見比べると面白かった。同じ日に二つの図書館を回ることができたのはこう言う意味で良かったのかもしれないなと思う。それぞれの感想は写真のあとで。
金沢海みらい図書館
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海みらい図書館は大小異なる3つの大きさの丸窓が無数に空いていることが大きな特徴である。写真を見てもわかるように、開架図書のある2,3フロアには天井からの照明はない。
丸窓から入る外からの光と机上を照らすタスく照明の組合せで照度を保つのはなかなか思い切った計画のように思える。
この日は晴れていたが、曇っているときにどのくらい内部の明るさが変化するか気になる。また、中央の階段とエレベーターが入る円柱は背の高い本棚に囲まれた中でも目立つ存在で、自分の位置を知る標としても働いているかなと思えた。本棚という森に囲まれた中で、太陽を目印にするかのような働きだった。
TOYAMAキラリ
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TOYAMAキラリは1階部に銀行中層部に図書館、上階にガラス美術館が入る複合施設で、中央部を吹抜けがずれながら斜めにつながっている。吹き抜け部にあるルーバーがやはり特徴的で、ランダムな向きにルーバーが取り付けられており、エスカレーターで登る際に見える景色が変化し続ける。人のエスカレーターによる移動によって、表情を変え続けるのは面白い体験だった。
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また、この図書館のためにつくられた独自のサイン計画も印象的で、鏡面に覆われた柱に反射し、主張がとても強めなサインだった。訪問者に気づいてもらうことが当然ながらサイン計画の重要な要素ではあると思うし、強調をしながらも建物から浮かないための設計がされているように思えた。
すでに建築側に施されている操作が強く特徴的だから出来ることかもしれないけれど、青木淳さんの大宮前体育館で聞いたサインの話とは逆のことながらも、根本にあるサインというものがどうあるべきかという考えは近いしいものを感じた。素朴な中の強烈さのような、特異的でありながらも普遍みたいな状態が作られている。
この二つの図書館は、どちらも特徴が強く面白いものだったので、建築を学び始めてすぐにでも行くことが出来たらかなり影響を受けそうな強烈さがあった。よく細かく見て勉強にな建築旅でした。
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