「安藤忠雄初期建築原図展-個の自立と対話」 @国立近現代建築資料館

湯島にある建築資料館で開かれている、安藤忠雄の原図展に行ってきました。原図という普段なかなか見ることのできないもので、貴重な展示会でした。会場の旧岩崎邸庭園の中にある資料館を訪れるのは初めてで、また新しいスポットを発見した気分です。ここで開かれている展示会も注目していきたいです。

2年前に国立新美術館で開かれた大規模な展示会に比べ、住吉の長屋から光の教会くらいまでの初期の住宅作品や教会作品にスポットライトを当て、平面図や断面図などの原図と模型の展示でした。

当然、住吉の長屋などが建てられた1970年代は手書きで図面が描かれており、修正の後も見ることが出来ます。(完全にCADによる時代に建築を学んでいるので、手書き図面は恐れ多いです笑)。細かい指示やテクスチャーなどが書き込まれている図面はやっぱり見ていて飽きずにかっこいいものでした。作品の展示を見て、どれだけ住吉の長屋がどれほどその後の住宅作品に影響を与え、住吉の長屋で用いた住宅の構成がプロジェクトごとに形を変えて変遷していく様子が見て取れました。

光の教会も模型をはじめたくさんの原図があったのですが、国立新美術館の1:1の空間を見たときとはだいぶ違う印象を受けました。新美の展示の際は、空間に入り込んだ時に、奥の十字架から差し込んでくる光がなによりも印象的だったのですが、今回は直方体が2つ並び、それが角度をつけられることで出来る斜めの線が印象的でした。前回の展示のときには気づくことの無かった、俯瞰的な構成の面白さがより際立っていた気がします。設計の裏の詳しい背景は知らないのですが、どのようにしてこの形に至ったのか、設計のプロセスをより知りたくなるものでした。

また、ロフトを上がった部分に並べられている展示作品には、絵画のような図面が5つほど並べられています。以前、スイスの建築家クリスト&ガンテンバインのギャラ間での展示でみた、青い図面を思い出すような雰囲気のある図面でした。この図面も、もしかしたらこの展示会向けに作られたものかもしれないけれど、手書きの原図が並ぶ中で異彩を放っていました。特に、色のコントラストの使い方がただただ格好よく、すぐにでも真似してみたくなるものでした。(かっこよく描くのはとても難しそう。)

この展示会は平日であれば無料でみることが出来るので、ぜひ訪れてみるといいと思います。ただ、入口が分かりづらいので事前に良く調べておくといいと思います。

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