ギャラ間で催される2018年度最後の展覧会は2017年にプリツカー賞も受賞し、日本でも奈良県で活動をしているRCRアーキテクツ。彼らの詳しい活動はこの記事にまとめてあるのでよかったら読んでみてください。
毎度おなじみのTOTOギャラリー・間は千代田線乃木坂駅から徒歩1分ほどの場所にあり、観覧料無料で様々な企画の展示が行われている。同じ建物には建築専門の書籍が売られているブックショップが併設されており、企画と連動した書籍も売られている。今回もRCR関連の書籍もたくさん置かれており眺めるだけでも楽しい。
今回の展示会ではRCRの初期の作品である陸上競技場やワイナリー、紙のパヴィリオン。上階では「吉野の森 ラ・ヴィラの森」と題した映像作品と吉野和紙に水彩を利用して描かれた森の展示がされている。
スペインバルセロナにある<サン・アントニージョアン・オリヴェール図書館>の模型。ほかにもオロットの陸上競技場やワイナリーなどの実際に竣工しているプロジェクトの模型と写真展示がされている。
ラ・ヴィラの広大な敷地で行われている夢のジオグラフィー構想に関するプロジェクト。オロット近くの140ヘクタールという広大なエリアで多様なクリエイティビティを共有し実験する場として、自然豊かな森の中でただ建築を建てるだけでなく、デザイナーや職人、研究者などがこの場で何か新しいものを作り出していくという。
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ラ・ヴィラに建てられる最初の建物が<紙のパヴィリオン>で会場には模型と実寸大のモックアップが展示されている。<紙のパヴィリオン>には吉野杉や吉野の和紙が用いられる。この展示会の終了後このモックアップはラ・ヴィラに運ばれ実際の建物に使用される。ラ・ヴィラで実際に組み立てられる際はスペインの職人とともに吉野の職人が現地に出向いてともに施工をするという。スペインという遠く離れた地でも、日本の職人技術が生かされているのは嬉しいし、世界中にはこのように生かすことのできる技術がまだまだたくさんあると考えるとワクワクさせられる。
上階の展示は吉野の和紙に水彩で描かれ森。その森を抜けるとラ・ヴィラでのプロジェクトの映像作品が流れている。20分という長さではあるが、すごく見入ってしまう内容だった。一番の驚きは吉野の景色とラ・ヴィラが行われているオロットの景色が驚くほど重なることだった。こんなに遠い場所でも同じような景色を持つ土地があると感嘆した。
この展示会をまとめた書籍も売られているほか、展示場で読むこともできる。プリツカー賞を受賞したとき、世界的に活躍している建築家ではなく地域に根差した活動をしており、これまでのプリツカー賞受賞者にはいない建築家集団であったが、彼らのような活動が認められ、これから必要とされるということだと思う。グローバルと地域主義、相反するような言葉だが、RCRの活動を見ているととても繋がりが深く感じる。
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