佐藤可士和展 @国立新美術館

4月24日に、佐藤可士和展に滑り込みで訪れた。本来であれば、連休明けまで続くはずだった展示会は緊急事態宣言の発令に伴って、会期を短縮して終了してしまった。

展示会では、佐藤さんが博報堂を独立してからの多くの仕事がこと狭しと並べられている。

最初の仕事であるSMAPの展示から始まる。そもそも、最初の仕事がSMAPというのもすごい。しかも、かなり高い密度で行われてる。

今であれば、街全体をハックして、広告にしてしまうということはあるが、これを20年前にやってることが驚きである。自動販売機から飲料、CDジャケットまで、街の隅々までを広告媒体にしている。

日常生活で良く目にするものの、あまりデザインされていないところを見つけ出し、そこに積極的に介入していった結果、このような広告の仕方に辿り着いたのだと思う。

PBの包装デザインも同じく、同一ブランドの商品でありながら、これまではバラバラの包装であった。そこに、ロゴの位置や色合いなどの緩やかなルールによって結びつけることで統一感のあるデザインが生み出されている。小さな操作であっても、多くの商品が陳列すると、揃っていることの効果は発揮され、店内の印象には大きな影響を与える。

こうしたデザインのルール作りの結果、いまやプライベートブランドを持つことが当たり前になりつつある。

巨大なロゴが展示されている部屋はかなり特殊な空間になっている。巨大なロゴをこれまで至近距離で観ることもないけれど、なによりこれらのロゴが一つの展示室に集合しつつも、各々が際立って見えるのは面白い。街中で、広告を見る時は、その町の雰囲気などのコンテクストに左右されるが、まっさらな展示室で観るロゴは、いつにもまして新鮮だった。

佐藤さん率いるSAMURAIは、多くの企業のプロジェクトを抱えており、会場内で目にする企業も多様で豊富である。さらにロゴだけでなく空間デザインまで幅広く手掛けているため、通常ではなかなか対外的に見せることができないような展示もここでは行えている。ある意味、この展示が企業の活動を伝える広告の場として多いに機能していると思う。デザインを手がける企業の多くは、消費者に近い存在であるが、中には普段目にすることが無い企業もある。そうした企業が、デザインや展示を通して、社会と強い接点を持つことは重要な意味を持つし、SAMURAIの仕事の本質は、両者の橋がけにあると感じた。

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