「令和元年の建築系研究室」建築文化週間 学生ワークショップ2019

10月26日、27日に建築会館で行われた学生ワークショップ2019。建築文化週間の1行事として有志で集まった学生が内容を企画し毎年違ったワークショップが行われている。自分自身もこの実行委員として約半年間企画や諸準備をしてきた。始まる前までは正直いうと不安な部分も多くあったものであったが、終わってみると実りの多いワークショップになりえたと思う。

心配であったものの一つは参加者がワークショップの趣旨を理解し、2日間を共にするチームが作れるかである。全国から集まった約100人ほどの参加者は、まず2人ほどのユニットを組み、会場内に散りばめられたキーワードから興味を持ったものを1つ選ぶ。このキーワードは事前に参加研究室からピックアップしてもらったもので、これらは会場内に散りばめられている。配置の仕方も単にランダムに置くのではなく、会場内に大きな座標系を敷き、各キーワードには座標が与えられている。キーワードが乗る座標軸は建築/都市と周縁/中心の2軸を取る。

ユニットでキーワードを選んだのち、次にキーワードを組合せる作業にはいる。自分の持っているキーワードと合いそうなもの、一緒に考えたいキーワードなど歩き回るうちに探していく。こうして3-4のキーワードを持ったユニットが集まり一つのチームになる。結果としてこうした複雑な過程でありながらも、滞りなくおのおのがキーワードを見つけることができ、魅力的な組み合わせを作り出すことが出来ていた。

順調にチームが作れたわけだがもう一つ心配点であったのは、「短時間で成果物をつくれるか」ということであった。作業が開始されるのは当日の午後15時、1日目の中間発表で一回締めたあとは2日目の午後には最終発表というタイトスケジュールである。もちろんチームは初めて会った複数の大学で構成されており、キーワードも初めて触れるものもあるかもしれない。そうした状況の中でのワークショップであったが、活発に議論がされており、中間発表時では各々面白い話の発展のなされ方がされていた。もう一つの心配としてみんな同じようなテーマになってしまうのではないかとも思っていたが、そんなこともまったくなく多種多様な話が発表された。また、各大学の先生方も多く来てくださり、議論を発展させてくださるような話を多く聞くことが出来た。

2日目は午前中の非常に短い時間しか作業をする時間はなかったがそれでも各班で協力し模型、プレゼンを作成していた。模型道具に関してはレモン画翠さんが多くの協力をしていただき成果物作成に大きく役立ったと思う。

最終発表にも多くの先生方が来てくださり、とても意義のある議論の場になったと思う。令和における「建築」だけにとどまるだけでなく「建築家像」「建築設計プロセス」「建築家の職能」などどの班もテーマを幅広くとらえて案を発展させていた。

このワークショップは始まるまでは不安な部分が多くあったが、この2日間を通して学生が多くの議論をすることが出来た滅多にない機会になりえたと思う。こういった場があることで中々話すことすらできない日本中の建築学生と議論し交流することのできる。こうした機会をつくる側としてだけでなく、使う側としても参加でき良かった。

付属して建築会館のギャラリーでは30の研究室がそれぞれの活動を伝えるための展示を行った佐藤淳研究室のモックアップや古谷研究室のせんだいメディアテークの2棟案など中々目にすることのできないものもあり、これもまたワークショップ同様に閉ざされた研究室を公開する貴重な機会になりえたのではと思う。

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