南青山にあるプリズミックギャラリーで開かれている『New Nature/御手洗龍展-新しい幾何学でつくられる小さな生態系としての建築』。御手洗さんが伊東事務所を独立してから取り組んできたいくつかのプロジェクトの模型とボードによる展示。ほかにも、みらいの図書館でやろうとしていた取り組みを展示会場で実践したり、土から模型を作った御手洗さんの仮想プロジェクトのようなものは、クライアントに左右されずに理想の建築像のようなものを体現しているように思う。
模型の展示も圧巻で、御手洗さんの理想が詰まった展示であったと思う。展示会場全体を利用し、空間づくりを実践していたと思う。特にARを利用し、各個人がスマートフォンを模型に付されたQRコードにかざすことで、人々が模型内を歩きだす様子を俯瞰してみることが出来る展示は新しさがあり面白かった。模型というリアルな物質とARによる仮想な人による使われ方が一体となって表れている。こういった展示の可能性を感じることが出来た。もっと、多くの展示会で、積極的にARやVRが利用されることは、建築プロジェクトをより身近に、鮮明に伝えることに一役を買うかもしれない。オンライン上で自宅などから展示会を見に行くことが出来る可能性ももしかしたらあるかもしれない。
また、この日は御手洗龍さんと平田晃久さん百田有希さんという3人の伊東事務所OBによるトークで、自然・幾何学という非常に奥深い話を聞くことが出来ました。自然という限りない話で、中々理解が追い付くことが難しいほど話が広がっていましたが、平田さんの建築に対する熱意をとても感じるレクチャーでした。建築が大きな自然の枠組みの中で何を果たすのか、今の時代で建築をすることが何の意味があるのか、そうした問いに対しての考え方を知る機会になった。
また、平田さんは御手洗さんのことを、構造としての幾何学が人の関係を作るという伊東事務所を正当に継いでいると評していたのも非常に面白く、多くの建築家を輩出している伊東事務所の中でそれぞれどういう立場を持っているかは興味深い。以前平田さんがプリズミックギャラリーで展示をした時期と御手洗さんはほぼ同時期であるといい、これから建築像を見極めていくのかなと思う。御手洗さんがこれから伊東さん、平田さんなどの建築と違い、どういう方向で建築を創るのか見ていきたいです。
とても楽しい展覧会とレクチャーでした。
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