SDレビュー2021 @代官山ヒルサイドテラス

代官山ヒルサイドテラスで開催されているSDレビュー。去年はコロナの影響もあり中止となったため、2年ぶりの開催になった。

実際に建てることを前提としたプロジェクトが対象となり、模型とドローイングを中心とした展示会である。

設計手法や、工法、建築をつくっていくプロセスに着眼した作品やその地域の持つ状態を丁寧に読み解いていくような作品が特に多いように感じた。

例えば、「斜面地をつなぐ柔らかいインフラ」は、アルゼンチンのスキーリゾート地と、その斜面地に位置するインフォーマルな居住地を対象にして、住民の動線にもなりつつ、ランドマークにもなる構築物である。また、斜面地という地形の特性上、表土の流出といった問題は避けられず、そうした課題点を解決するための山留めや排水溝を施工していくなど、居住環境をマネジメントしていくようなプロジェクトになっている。土木と建築の間を行くようなものであって、こうした分け方も必要ないなと思わせてくれるような提案であった。

住み方や働き方が一気に多様なものになった現代の空気感が表れたような作品も多かった。「ROOF HOUSE」は、住宅の計画であり、将来的には、週末住宅であったり一部を店舗やオフィスにするなど多様な使い方を想定している。不確定な未来へに対しての計画ではあるが、どのようなフェイズでっても自然豊かな環境を建築内部にとりいれるような大きな屋根と庭による中間領域づくりが考えられている。柱も100㎜の非常に細いもので、ボリュームとつながれることで屋根を支えている。

「②Sides House」は、自宅と事務所を兼ねた建物であり、一つの建築物の中に回遊する多様な空間が作られている。一つながりの行き止まりのない空間によって将来の変化に対しての冗長さをもつというもので、「ROOF HOUSE」とはまた異なるアプローチを果たしている。

他にも「岐阜のいちご作業所・直売所・遊び場」は、予算が非常に限られている中での計画で、すでに施主が持っていたビニールハウスのパイプなど、あるものを最大限に活用しそれらをブリコラージュのように組み合わせて作りだした作品。一度は不要と判断されたものではあるが、それらを使うことを前提として計画を組み立てるのは、通常の設計プロセスとは大きく異なるアプローチの仕方だと思う。こういう計画は、バブル期にはあまりなかったり、一方それより前の時代には普通に行われていたかもしれない。流行ということ場で表すのはあまりに安直ではあると思うけれど、建築の現場に深く染みついた空気感や共通認識のようなものが顕著に表面化しているような気がする。

東京での展示は、9/26(日)まで。その後、京都での展示の予定であるが、まだ会期は未定のよう。

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