新しい生活様式の一つとして大きな注目を浴びている「ワーケーション」という言葉。「ワーケーション」という言葉自体は、2000年代にアメリカで生まれた「Work」と「Vacation」を組み合わせて出来た造語で、意外と歴史のある言葉でもある。
日本では2017年にJALがワーケーションを導入することをすでに発表していたが、この新型コロナウィルス感染症拡大によって、多くの企業がテレワークを導入し始めたことで、広く認知されてきている。感染症を拡大させたくはない、都市の密を避けたいなど様々な思惑が重なって、ワーケーションを取り入れる動きが広まりつつあると思われる。
そもそも、ワーケーションは、定期的な会議などで長期的な家族旅行を行うことが難しい業界などで、旅行しながらも時間を設定してテレワークをし、職と遊を両立することを目的にしている。例えば、昼間はホテルのロビーや客室で豊かな自然を前にして仕事をし、その間は、奥さんと子供は外で遊び、夕方には一緒にBBQをするなどといった暮らしが可能になる。
星野リゾートでも多くのワーケーションに対応したプランを発表している。「星のや竹富島」では、一か月間の宿泊プランを打ち出している。客室が一戸建てのようになっているため、まるで一か月間、島での暮らしを体験するようなプランである。奥入瀬や旭川など、他の土地でも5泊15泊などの長期宿泊を、割引料金で泊まることのできるプランが多く打ち出されている。旅行客数が大きく減少し、変革が求められている観光業界ならではの、機転の利いた取り組みだと思う。
長期旅行中なのだから、仕事などせずに家族との時間を楽しめばいいのにと最初は思ったが、どうしても、仕事を留めるわけにはいかない業界にとっては、こういう形の旅行はやむを得ないと思う。むしろ、場所を変え、気分も一新しながら働く時間をつくることが出来るのはとても生産的だと思う。
ここ最近の情勢下で、オフィスにいなくても一定の仕事をすることが出来るということに多くの人が気づいたことは、このワーケーションという文化を大きく推進するきっかけになるだろう。旅をするように働くという、まるで夢のような生活がより現実味を帯びてきたと思う。求人などの欄に有給休暇ありなどと同じくワーケーションありといった表示が出現して、就職の際の企業選びの基準にもなるかもしれない。積極的に多くの企業が取り入れ、世の中の当たり前が変わっていくと良いと思う。
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