インスタ映えと建築

夏という一番インスタ映えしそうなシーズンもそろそろ終わりに近づいてきてしまいました。今年は夏らしいことをあまりできなかったことは後悔。”平成最後の夏”なのに。

この”平成最後の夏”というワードはInstagramでハッシュタグとして使われ、各々が映えていると感じた写真とともに添えられています。”平成最後の夏“というハッシュタグはもちろん使われてるのは今年だけで、約40万回も使われています。年々、若い層がSNSを始めたり子供が親にアカウントを作ることを勧めたりし、人口は減少していながらもSNS人口はどんどん増えています。

インスタグラムのような写真投稿が可能になったとは当然スマートフォンの登場がきっかけです。これを機に写真に対する意識が変わってきていると感じます。以前は観光地に行くことはそこでの空間体験が先にあり、気に入った写真が撮れたら誰かに見せたり共有していました。その順序が逆転し、インスタ映えする写真を撮ることを目的とするケースが増えていると感じます。このことは大した影響がないと考えることも出来ますが、建築界が大きく転換してしまう出来事だと考えます。

大学で建築を学んでいる人々はインスタ映えよりも、その場での空間体験を良いものにしようという工夫を考えます。今、名建築として知られているものは写真で見るよりも、実際に行くことで感じる空間体験が良いものがほとんどです。

しかし、社会がインスタグラムの登場で写真映りを気にするようになると、建築家もそのことを気にしなくてはならなくなります。良き理解者となるクライアントに出会えれば別ですが、建築は基本的にクライアントとともに作るものであり意識はせずにいられないと思います。(建築されるプログラムにもよりますが、)

インスタグラムには不特定多数の人が投稿するため切り取り方も様々です。一つの作品に対してどのようなところに重きを置くかは人それぞれで、それが並べて見ることができるのはとても面白いです。建築家もそれを再びインプットしているのかなと勝手に想像しています。(直島のパヴィリオンなどは藤本壮介さん本人もインスタグラムをチェックしているようなので)

隈さんや藤本壮介さんの作品、特にパヴィリオン建築は、写真で見た多くの人が行きたいと思わせてくれる力を持つのはさすがだと思います。

今後、インスタ映えの対象がどのように変化し、何に建築は重きを置くように変わるかが楽しみです。

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