増田信吾+大坪克亘展 「それはほんとに必要か。」 @ギャラリー間

1月16日からはじまった増田信吾+大坪克亘展。前回のギャラ間のADVVTの展示を行き損なってしまったので、今回は会期の早いうちに訪れることができてよかった。いつか行こうと思っているとどうしてもぎりぎりになってしまう。

増田信吾+大坪克亘の作品は「躯体の窓」など、新建築の誌面上は見たことある作品はあったが、俯瞰的に全体像を見ることは初めてであった。展覧会の中でぼんやりだが浮かび上がったそれらの作品における建築の思考はとても共感しやすいものだった。会場の構成は分かりやすく、下階には各プロジェクトが巨大な部分模型と壁面の言葉によって語られ、上階の展示は周辺のコンテクストを含んだ引いた目線から見た模型により、プロジェクトを一望することが出来る。どちらの階も余分なことを言わず伝えたいことが浮かび上がっているようで、一見対比的でありながらも密にリンクしているようであった。

「躯体の窓」のプロジェクトは時間軸的に建築を対応させていく姿勢や建築の境界面を思考していく部分が、自分の関わっているプロジェクトややりたいことにとても近く、今回の展示会の個人的な一番の目玉になっていてた。詳細模型はとても精密だし、何よりガラス面に書かれていた言葉もとても良かった。

建築の境界面がどうやって外部に対して働くか、外部のための窓みたいなものが実現されているようだった。そういう意味では「街の家」のプロジェクトの説明の中で書かれていた、外構に対して高い意識を持つという姿勢もとても共感がもつことが出来た。こうした下階に書かれていたことの種明かしは上階の周辺を含んだ模型の中で語られている。

初めて知る作品もいくつもあったが、短時間の間でまるで良く知っているプロジェクトのような気分になる展示で不思議な感じがした。見たものは大小異なる二つの模型と添えられた言葉のみで、ここまで自分の中にすっと入ることは体験したことがないかもしれない。余計なものはそぎ落として少ない情報だけですっと伝えられる感覚は面白いものだった。

 建築の用途は主に住宅であったが、もっと建築内部に公共性の度合いが高まったときにどういった境界面を作り出していくのかがとても楽しみに思える展示会だった。建築の作り方から、より社会との接続の仕方、単体としての建築から周りを巻き込んでいく建ち方。一つの建築から周辺へと波及していくことの可能性を考えたくなるような機会になった。

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